01ローソク足とプライスアクション
Author:Hana
プライスアクションとは?
プライスアクションとは、価格の動きを直接分析し、チャートに表れる投資家の心理を読み取り、市場の状況を判断する手法です。
日本でも古くから酒田罫線法などの罫線分析がありますが、欧米ではプライスアクションが主流です。
マーケットでは、参加者の損切りや利益確定により市場は変動します。

この価格の動きから相場の心理を読み取り、次の動向を予測するのがプライスアクションの目的です。
プライスアクションの判断には、前回学んだ 「ローソク足」 が使われます。
これは取引が成立した際の価格を表すものであり、日足のローソク足を見れば、その日の最高値や最安値で 取引が行われたことがわかります。
ローソク足のチャートでは、投資家たちの感情が記録されます。
買いが高値で行われた場合の焦燥や、売りが安値で行われた場合の絶望などが表れ、逆に利益を得た投資家の自信や油断も見えてきます。
プライスアクションは、これらの心理状態を読み解き、市場の動向を理解する手助けとなります。
REFERENCE BOOKS&WEB SITE
プライスアクションについての参考図書と参考サイトです。下記の書籍はカラフルで一番わかりやすいのでおすすめです。サイトには動画による解説もあります。(どちらも画像クリックでジャンプします)
「ダマシが最強のサイン」とはどういう意味?
「ダマシ」の概念は日本の罫線理論でも散見されますが、プライスアクションほど体系化されていない上、ダマシこそ最強のサインといった「逆の発想」がありません。
ダマシのサインをトレードに応用できるのが、プライスアクションの醍醐味です。
プライスアクションのサインを 「単純に」 解釈する場合、
上値あるいは下値を試していくと思われるところで反対の方向に行ってしまったら、「従来」の方向ではなく、かえって逆の方向に行きやすいと判断します。

このロジックがダマシの本質です。
相場の心理がローソク足に反映される
相場における値動きは、常にロング勢とショート勢の戦いの結果を表しています。
戦いなので、当然「騙し合うこと」も含まれます。
もっとも、相場における 「騙し合い」 は、事前の謀略によって作られたものではなく、戦いの状況が常に変化していくうちに、事後的な結果として残されたものです。
ロング勢とショート勢が新たな思惑や判断に基づき、さらに行動を起こした結果でもあります。
例えば、上昇トレンドが継続し、過熱感もかなり出たところで、新たな高値が形成されたものの、一転して大きく反落、日足では典型的な 「弱気リバーサル」 のサインが点灯したというケースを考えてみましょう。

一般論として、この場合ロング勢はさらなる下落を危惧し、ポジションを決済します。
反面、ショート勢はロング勢の決済を見込んで新たなショートポジションを作ることも推測されます。
ロング勢がポジションを決済してから、ドテンしてショート勢として相場に参入してくるのもよく観察されるパターンです。
このように、トレンドが反転するとの思惑が広がり ファンダメンタルズ上の材料が伴えば、一層ショート勢の勢いが強くなりがちです。
しかし、その後下落せず、逆に一転して上昇し新たな高値を形成した場合はダマシになります。
そうなると、ショート筋は狼狽して損切り(買い戻し)し、新たなロング筋の参入もあって、相場は往々にしてさらなる高騰を演じます。

言ってみれば、ダマシのサインがあったからこそ、さらなる高値更新や強いトレンドが形成されるわけです。
「ダマシこそ最強のサイン」と言われる所以はそこにあります。
例えば、途中のサインが上あるいは下の方向を示し、ロング勢もショート勢も、一旦それを見込んだ判断を下したとします。
その方向へ行かず 逆へ向かう場合は、相場の「均衡とバランス」が大きく崩れやすくなるので、さらなる「踏み上げ」、あるいは「損切り」が多数発生する仕組みです。
潜在的な 「損する勢」 が多ければ多いほど、サインの有効性は高くなります。
プライスアクションの基本原則
- 現状を把握するには値動きを分析
- みんなが注目している価格が大事
- ダマシの対処法をマスターして ダマシを最強のシグナルとして活用せよ
次から、プライスアクションについて具体的に学んでいきましょう。
ピンバー
まずは前回学んだトンボという形と同様ですが、ピンバーというプライスアクションから。
ヒゲが長く伸びて、ローソクの実体部分が極端に短いローソク足のこと。

長く伸びたヒゲは、取引時間中に値を伸ばしたものの、その後の値動きで大きく押し戻されたことを示しています。
ピンバーが何度も発生する水準は、値動きの先に強い抵抗帯が存在することを教えています。
相場の転換や停滞への可能性を示唆するプライスアクションです。
スパイクハイ・スパイクロー
スパイクは、ピンバー同様にヒゲが長くローソクの実体部分が短いローソク足のことです。
長いヒゲは、取引時間中の値動きが押し戻されて取引を終えた結果を示しています。
スパイクハイ
スパイクハイとは、上昇が続いた後の高値水準で上ヒゲの長いスパイクが発生することを言います。

上昇したその先に強い抵抗ゾーンの存在を教えてくれ、相場転換の可能性を示唆します。
スパイクロー
スパイクローとは、下落が続いた後の安値水準で下ヒゲの長いスパイクが発生することを言います。

下落したその先に強い支持ゾーンの存在を教えてくれ、相場転換の可能性を示唆します。
スラストアップ・スラストダウン
スラストアップ
スラストアップは、直前のローソク足の高値を上回って終値が確定されると完成します。

上昇トレンドの途中では、自然とスラストアップが数多く発生します。
連続してスラストアップが発生している上昇トレンドは、値動きの勢いが強いことを示しています。
スラストアップを探していくことで、トレンドの強さを確認できるプライスアクションです。
スラストダウン
スラストダウンは、直前のローソク足の安値を下回って終値が確定されると完成します。

下降トレンドの途中では、自然とスラストダウンが数多く発生します。
連続してスラストダウンが発生している下降トレンドは値を下げる勢いが強いことを示しています。
スラストダウンを探していくことで、強い下落トレンドを確認できるプライスアクションです。
インサイド・アウトサイド
インサイド
インサイドは、前のローソク足の価格範囲にすっぽりと値動きが収まるローソク足のことを言います。

値動きを包み込む大きなローソク足を母線と呼び、母線の高値/安値のブレイクを待ちます。
インサイドは相場の保ち合いを示しており、方向感なく値動きのエネルギーが貯め込まれていきます。
母線のブレイクはそのエネルギーの放出のきっかけとなりやすく、ブレイクした方向への売買が基本戦略となります。
インサイドは、大小1本ずつの組み合わせとは限らず、母線に対して複数本がインサイドの状態になることもあります。その場合はインサイドの意味合いが強く意識され、母線ブレイクによる値動きは強くなることが多いです。
アウトサイド
アウトサイドは、直前の値動きをすっぽりと包み込むローソク足のことを言います。

アウトサイドとなったローソク足が母線となり、母線の高値/安値のブレイクを待ちます。
アウトサイドは、リバーサルなどの他のプライスアクションと併発されることが多く、母線のブレイクする方向への売買が基本戦略となります。
アウトサイドとインサイドとの交互の発生もしばしば見受けられます。

複数本のローソク足を包み込むアウトサイドは売り買いの拮抗が強く意識され、母線ブレイクによる値動きは強くなることが多いです。
強気リバーサル・弱気リバーサル
強気リバーサル
強気リバーサルは、下落トレンドが反転上昇する可能性を示唆するプライスアクションです。

取引時間中に安値を更新したものの、直前のローソク足の実体部分を上回る終値の確定で発生とみなします。
ローソクの実体部分だけでなく、高値も更新する終値となった場合は、強力な強気リバーサルの出現です。
強気リバーサルが発生した後は、下落基調が反転し価格の上昇に備えます。
弱気リバーサル
弱気リバーサルは、上昇トレンドが反転下落する可能性を示唆するプライスアクションです。

取引時間中に高値を更新したものの、直前のローソク足の実体部分を下回る終値の確定で発生を確認します。
ローソクの実体部分だけでなく、安値も更新する終値となった場合は、強い弱気リバーサルの出現です。
弱気リバーサルが発生した後は、上昇基調が反転し価格の下落に備えます。
強気フォールスブレイクアウト
過去につけた高値または安値を更新したものの、本格的なブレイクに失敗して発生するプライスアクション。

一旦ブレイクされた抵抗ゾーンの存在が改めて強く意識され、ブレイクに追随する目的だった売買の修正も重なりやすい。
重要な価格のブレイクが一転し、反転の値動きが加速することを示唆するプライスアクションです。
実践例 その1ロング編
それでは、ナスダックの4時間足チャートで実践例を見ていきましょう。

3度にわたるサポートラインへの下 を確認して、下落トレンドの終了を確認。
その後、スラストアップを確認してロング。(スラストアップ:前のローソク足を上回るローソク足の実体)
逆指値は、ロングしたそのローソク足の下 の下に置きます。
(逆指値:図の
マーク)
ロングの利確ポイントを考える
では、この事例で利確ポイントを考えてみます。

一般的にロングの利確は
- 直近高値手前
- リスクリワード1:1を達成
- ローソク足の勢い減速
・・・などを元に検討します。
この事例では、直近高値付近でリスクリワード(RR)を1達成したので半分利確して様子見し、その後 上昇を継続したので 残りの建玉はそのまま伸ばし、上昇の勢いが減速しリスクリワード2を達成したところで全利確です。
実践例 その2ショート編

矢印の上昇トレンドを形成後、前回高値付近でのレジスタンスゾーンに到達。
毛抜き天井を観測。
この形は、下位足だとダブルトップになっています。
その後スラストダウンを確認してショート。
(スラストダウン:前のローソク足を下回るローソク足の実体)
逆指値は、ショートしたそのローソク足の上 の上に置きます。
(逆指値:図の
マーク)
ショートの利確ポイントを考える
では、この事例で利確ポイントを考えてみます。

一般的にショートの利確は
- 直近安値手前
- リスクリワード1:1を達成
- ローソク足の勢い減速
…などを元に検討します。
この事例では、リスクリワード(RR)を1達成したので半分利確して様子見し、その後下落を継続しましたが、直近安値付近で下落の勢いが減速したのでリスクリワード2を達成したところで全利確です。
世界最古のチャート手法:酒田五法
では、プライスアクションでは説明がない部分を、日本式の酒田五法で補完します。 いざ伝授して参らん ニンニン
酒田五法とは、江戸時代に本間宗久が編み出したテクニカル分析手法です。本間宗久はローソク足を考案した人としても有名です。 以下に、本間宗久の名言「宗久三位伝」を紹介します。
三空(さんくう)
空(=窓)に焦点を当てたパターン分析です。

空は、突発的なニュースなどで、相場がパニック的に動いたことを示唆しています。
「空」とは いわゆる窓やギャップのことで、ローソク足が連続していない際に生じる空間を指します。
そのなかでも三空とは、同じトレンド方向に連続して3回窓が空くことを指します。株価が急上昇したり急降下したりなどして 窓が開いた際の、逆張り指標として参考になります。
三兵(さんぺい)
三兵は、陽線または陰線が3本連続で並ぶことです。 三空と似ていますが、三兵は窓がないという点で異なります。
三兵がトレンド内のどのタイミングで発生するかで、そのトレンドが続くか転換するかを判断するヒントになります。
赤三兵
例えば、赤三兵は安値圏で陽線が三本連続並んでいることを指します。

安値圏での赤三兵(陽線3連続)は上昇トレンドに発展する可能性があるので買いポイントの一つといえます。
黒三兵
一方、黒三兵は高値圏で陰線が三本連続並んでいることを指します。

高値圏での黒三兵は下降トレンドの始まりと判断できます。なので、黒三兵は売りエントリーをするチャンスです。
三法(さんぽう)
三法のパターンは上げ三法・下げ三法の1つです。
上げ三法・下げ三法はレンジ相場に出現して、レンジ相場がその後どう変動するかを予測するヒントになります。
上げ三方
上げ三法は、2本の大陽線の間に3本の短い陰線が並んでいます。通常上げ三法が出現した場合は、相場は上昇していきます。

下げ三方
一方、下げ三法は、2本の大陰線の間に3本の短い陽線が並んでいます。下げ三法を見つけたら、レンジ相場から下降相場に転換すると予想できます。

上げ三法・下げ三法は 5本のローソク足の並びことを指しますが、上げ三法・下げ三法ともに、前後のローソク足を確認してより正確に相場変動を見抜きましょう。
プライスアクションを検出してくれるインジケーター
ここまで 様々なプライスアクションを見てきましたが、いきなり全てを覚えるのは難しいと思います。 そこでおすすめなのが、自動で検出してくれるインジケーターです。
プライスアクションパターンラベル
✨ハルナミさん作✨
検出したローソク足にラベルをつけ、上昇パターン と 下降パターン で色分けしてくれます。
そのままだとたくさん表示されてしまうので、
- 検出してほしいものだけ設定する
- 覚えたものから表示を減らす など、
使いやすいように カスタマイズしてみてください。
過去チャートを振り返って、効きやすいプライスアクションを探してみるのもいいですね。





次の章からはチャートを見ながら実践例を見ていきましょう!
私の大好物です❤️